神社でお参りするとき、「どんな願い事でもしていいの？」「これってNG？」と迷ったことはありませんか。
実は、神社での願い事にはいくつかのタブーやマナーがあるんです。
他人を不幸にする願いや自分勝手な欲望だけの願い、命令口調での願いなどは避けるべきとされています。また、願い事を人に話すとご利益が薄れるという言い伝えもあります。
この記事では、神社で願い事をするときにやってはいけないNG例とその理由、正しいお参りの作法、神様に届きやすい願い事の伝え方まで詳しく解説します。正しいマナーを知って、心を込めたお参りをしましょう。
神社で正しいお参りの仕方とは？基本の作法をおさらい
神社でのお参りには、古くから伝わる作法があります。まずは基本的なマナーを確認しておきましょう。正しい作法を知ることで、より心のこもったお参りができるようになりますよ。
鳥居をくぐるときは一礼するのが基本
鳥居は神様の領域と人間の世界を分ける境界線とされています。鳥居をくぐる前には、軽く一礼してから入るのがマナーです。これは「お邪魔します」という気持ちを表す挨拶のようなもの。
帰るときも、鳥居を出た後に振り返って一礼すると丁寧ですね。
急いでいても、この一礼だけは忘れないようにしましょう。
参道の中央を避けて歩く理由とは
参道の真ん中は「正中（せいちゅう）」と呼ばれ、神様が通る道とされています。ですから、参拝者は参道の端を歩くのが正しいマナーなんです。
左右どちらでも構いませんが、中央を避けて歩くことで神様への敬意を示します。
また、参道を横切るときは軽く頭を下げながら渡ると良いでしょう。混雑しているときでも、できるだけ中央は避けるよう心がけたいですね。
手水舎での清め方と正しい順序
手水舎（ちょうずや・てみずや）は、参拝前に心身を清める場所です。
正しい手順は次の通りです。
- まず右手で柄杓を持ち、左手を清めます
- 次に柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます
- 再び右手に持ち替えて、左手に水を受けて口をすすぎます（柄杓に直接口をつけないように注意）
- もう一度左手を流し、最後に柄杓を立てて残った水で柄を洗い流します
一連の動作を一杯の水で行うのがポイントですよ。
お賽銭の入れ方と金額に決まりはある？
お賽銭は、神様への感謝の気持ちを表すものです。金額に厳密な決まりはありませんが、語呂合わせで「ご縁がありますように」という意味で5円玉を入れる人も多いですね。
大切なのは金額ではなく、気持ちです。
お賽銭を入れるときは、投げつけるのではなく、静かに賽銭箱に入れましょう。乱暴に投げると失礼にあたります。
二礼二拍手一礼の意味と正しいやり方
一般的な神社では「二礼二拍手一礼（にれいにはくしゅいちれい）」が基本作法です。
まず深く二回お辞儀をします。
次に胸の高さで両手を合わせ、右手を少し下にずらして二回拍手します。
手を合わせたまま願い事を伝え、最後にもう一度深くお辞儀をします。
この作法には神様への敬意と感謝の気持ちが込められているんです。ただし、出雲大社など一部の神社では作法が異なる場合もあるので、事前に確認すると良いでしょう。
参拝後の立ち去り方にもマナーがある
お参りが終わったら、数歩下がってから向きを変えるのがマナーです。
神様にお尻を向けたまま立ち去るのは失礼とされています。
また、参道を戻るときも中央を避けて歩き、鳥居を出る前に振り返って一礼すると、より丁寧な参拝になります。最後まで敬意を持って行動することが大切ですね。
神社でやってはいけない願い事とは？NG例とその理由
神社での願い事にはタブーとされるものがいくつかあります。どんな願い事がNGなのか、その理由とともに見ていきましょう。
他人を不幸にするような願いは絶対NGだから
「あの人が失敗しますように」「ライバルが不幸になりますように」といった、他人の不幸を願うことは絶対にNGです。神社は神聖な場所であり、神様は人々の幸せを願う存在です。他人を不幸にする願いは、神様への冒涜にもなりかねません。
むしろそのような負のエネルギーは自分自身に返ってくると言われています。
どうしても誰かと競争している状況でも、「自分が成功しますように」とポジティブな願い方をしましょう。
自分勝手な欲望だけの願いは届きにくいから
「宝くじで1億円当たりますように」「何もしないでお金持ちになりたい」といった、努力なしに得ようとする自分勝手な願いは届きにくいとされています。神様は努力する人を応援してくれる存在です。
「夢の実現のために頑張りますので、どうか見守ってください」というように、自分も努力する姿勢を示すことが大切なんです。
願いが叶うためには、自分自身の行動も必要だということを忘れないようにしましょう。
神様に命令するような表現は失礼だから
「絶対に叶えて！」「〇〇にして！」といった命令口調での願い事は、神様に対して失礼にあたります。神社は神様にお願いをする場所ではありますが、あくまでも謙虚な姿勢が求められます。
「どうか〇〇になりますように」「〇〇できますようお力添えください」といった丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
敬意を込めた言葉で願うことで、神様にも気持ちが届きやすくなりますよ。
具体性のない漠然とした願いでは効果が薄れるから
「幸せになりたい」「なんとかしてください」といった漠然とした願い事は、具体性に欠けるため効果が薄れると言われています。
神様にも、あなたが何を望んでいるのか伝わりにくいからです。「〇〇の試験に合格できますように」「△△さんとの関係が良好になりますように」など、できるだけ具体的に願いを伝えることが大切です。
明確な目標があれば、自分自身も行動しやすくなりますね。
お願いごとを複数まとめて言うのは控えるべきだから
「仕事もうまくいって、恋愛も成就して、健康で、お金も増えて…」といった具合に、あれもこれもと欲張って複数の願い事をするのは控えたほうが良いでしょう。
一度に多くのことを願うと、どれも中途半端になってしまう可能性があります。本当に叶えたい願いを一つに絞って、心を込めてお祈りすることが大切です。
もし複数の願いがある場合は、参拝の機会を分けるか、それぞれのご利益で知られる神社を訪れると良いでしょう。
願い事を人に話すのはNG？神社のお参りにまつわるタブー
神社での願い事について、人に話すべきかどうか迷う人も多いはず。ここでは願い事を口外することに関するタブーについて解説します。
願い事を他人に話すとご利益が薄れると言われているから
昔から「願い事は人に話すとご利益が薄れる」という言い伝えがあります。
これは、願い事を口に出すことで願いのエネルギーが分散してしまうという考え方に基づいています。
また、他人に話すことで願いへの執着が薄れたり、半信半疑になったりすることもあるでしょう。願い事は自分と神様だけの秘密にしておくことで、より強い思いを持ち続けられるという意味もあるんです。
神様との約束は他人に明かさないのが礼儀だから
神社での願い事は、あなたと神様との間の約束のようなものです。
プライベートな約束を他人にべらべら話すのは礼儀に反しますよね。同じように、神様との約束も大切に胸にしまっておくのが礼儀とされています。
もちろん、願いが叶った後にお礼参りをした際、感謝の気持ちとともに周りに報告するのは問題ありません。
大切なのは、願っている最中は秘密にしておくということです。
「願いが叶わなかった」と言いたくなる心理を避けるため
願い事を周りに話してしまうと、もし叶わなかったときに「あの願い、叶わなかったよ」と言わなければならない状況になることがあります。
これは精神的にもつらいものですし、願いに対するネガティブな気持ちを生んでしまいます。
また、周りから「まだ叶ってないの？」と聞かれることもプレッシャーになりますよね。
自分の心を守るためにも、願い事は内に秘めておくのが賢明です。
お守りやお札の取り扱いにも注意が必要だから
願い事と同じく、お守りやお札の取り扱いにも注意が必要です。
お守りを他人に触らせたり、中身を開けて見たりするのはNGとされています。
お守りは神様の力が宿った大切なものなので、丁寧に扱いましょう。
また、古くなったお守りは、授与していただいた神社に返納するのがマナーです。
ゴミとして捨てるのは絶対に避けてくださいね。
神様に届く願い事の伝え方とは？心がけたいポイント
では、どのように願い事を伝えれば神様に届きやすいのでしょうか。効果的な願い方のポイントをご紹介します。
まずは自己紹介と感謝の気持ちを伝えること
願い事をする前に、まず自分が誰なのかを伝えましょう。
「〇〇県〇〇市から参りました△△と申します」といった具合に、住所と名前を心の中で伝えます。初めて訪れる神社なら特に大切です。
そして、「今日こうして参拝できることに感謝します」「日々の平穏に感謝します」といった感謝の言葉を添えましょう。感謝の気持ちを先に伝えることで、より謙虚な姿勢になれますよ。
具体的かつ前向きな言葉で願いを伝えること
願い事は、できるだけ具体的で前向きな言葉で伝えましょう。
「〇〇大学に合格できますように」「新しいプロジェクトが成功しますように」といった明確な表現が良いですね。
また、「失敗しませんように」ではなく「成功しますように」、「病気になりませんように」ではなく「健康でいられますように」と、ポジティブな言い方を選ぶことが大切です。前向きな言葉は、自分自身の気持ちも明るくしてくれます。
実現に向けて自分も努力する姿勢を示すこと
願い事をするときは、「実現に向けて精一杯努力しますので、どうかお力添えください」といった、自分も頑張る意志を示すことが重要です。
神様は努力する人を応援してくれるとされています。
すべてを神様任せにするのではなく、自分も行動する覚悟があることを伝えましょう「
頑張りますので見守ってください」という謙虚な姿勢が、神様の心にも響くはずです。
願いの内容は一つに絞ること
前述したように、願い事は一つに絞るのが基本です。もし複数の願いがある場合は、今一番叶えたいことを選びましょう。
一つの願いに集中することで、自分自身の意識もはっきりします。また、その願いに向けて具体的にどう行動すべきかも見えてきますよね。
欲張らず、本当に大切な一つの願いを心を込めて伝えることが、神様に届く近道なんです。
言葉遣いに敬意を込めること
神様に対しては、常に敬意を込めた言葉遣いを心がけましょう。命令口調や乱暴な言葉は避け、「〜ますように」「〜いただけますように」といった丁寧な表現を使います。
また、願い事の最後には「どうぞよろしくお願いいたします」と締めくくると良いでしょう。
心からの敬意を持って言葉を選ぶことで、あなたの真剣さも伝わりますよ。
神社ごとに違う？願い事をするときの注意点とマナー
実は、神社によって参拝方法やマナーが異なることがあります。訪れる神社に合わせた配慮も大切です。
神社ごとに祀られている神様のご利益を確認すること
神社には、それぞれ祀られている神様が異なります。
学問の神様、縁結びの神様、商売繁盛の神様など、さまざまなご利益があるんです。
例えば、学問の神様として有名な菅原道真公を祀る天満宮で恋愛成就を願うより、縁結びで知られる神社で願うほうが適切ですよね。
事前にその神社のご利益を調べておくと、より効果的な参拝ができるでしょう。
地元の風習や参拝方法に従うこと
地域によっては独特の参拝方法や風習がある場合があります。
出雲大社では「二礼四拍手一礼」が作法ですし、伊勢神宮では特別な参拝順序があります。
また、地元の氏神様には、その地域ならではのお祭りやしきたりがあることも。
訪れる神社の案内板を確認したり、地元の人に尋ねたりして、その場所に合ったマナーを守りましょう。
混雑時は周囲に配慮して簡潔に願うこと
初詣や祭礼の日など、神社が混雑しているときは、後ろで待っている人への配慮も必要です。長々とお祈りするのは控え、簡潔に願い事を伝えましょう。
心を込めることは大切ですが、時と場合によっては手短にまとめることもマナーの一つです。混雑していない時間帯を選んで参拝するのも良い方法ですね。
願い札や絵馬を書く際も丁寧な言葉を使うこと
絵馬や願い札に願い事を書く際も、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
他の参拝者の目に触れる可能性もあるため、読む人が不快にならない内容と表現を選びます。
また、個人情報（フルネームや住所など)は書きすぎないよう注意が必要です。願い事は具体的に書きつつも、プライバシーには配慮しましょう。
神社での願い事に関するよくある疑問Q&A
神社での願い事について、多くの人が疑問に思うことをQ&A形式でまとめました。
お賽銭はいくらが良いの？語呂合わせの意味とは
お賽銭の金額に決まりはありませんが、語呂合わせで選ぶ人も多いです。
5円は「ご縁がありますように」、15円（5円3枚）は「十分ご縁がありますように」、25円は「二重にご縁がありますように」といった意味があります。一方で、10円は「遠縁（とおえん）」、500円は「これ以上の硬貨（効果）がない」として避ける人もいます。
ただし、これらはあくまで語呂合わせなので、気持ちが大切です。自分が納得できる金額を選びましょう。
お願いごとは声に出していいの？心の中で言うべき？
願い事は、心の中で伝えるのが一般的です。声に出すと周りの人に聞こえてしまいますし、前述のように願い事は秘密にしておくのが良いとされています。
ただし、小声でつぶやく程度なら問題ないという考え方もあります。大切なのは、声の大きさではなく、心を込めて願うことです。自分がやりやすい方法で、誠実に願いを伝えましょう。
何回も同じ神社にお願いしてもいい？
同じ神社に何度も参拝するのは、まったく問題ありません。
むしろ、定期的に訪れて感謝を伝えたり、願いの進捗を報告したりするのは良いことです。ただし、毎回同じ願い事をするというより、「いつも見守っていただきありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えつつ、必要なときに願い事をするスタイルが理想的です。
願いが叶ったら、必ずお礼参りをすることも忘れずに。
お願いごととお礼参りの関係とは
お礼参りとは、願いが叶ったときに神社を訪れて感謝の気持ちを伝えることです。願い事をしたら、叶った後にはきちんとお礼参りをするのがマナーとされています。
「おかげさまで〇〇がかないました。ありがとうございました」と報告し、感謝を伝えましょう。お礼参りをすることで、神様との良い関係が続き、次の願いも届きやすくなると言われていますよ。
複数の神社で同じ願いをしても大丈夫？
複数の神社で同じ願いをすることは、「神様の二股」などと言われることもありますが、実際には問題ないとされています。いろいろな神社を訪れて願うことは、それだけ真剣に願っている証拠とも言えますよね。
ただし、それぞれの神社で誠実にお参りし、願いが叶ったらすべての神社にお礼参りをするのが礼儀です。数を重ねるより、一つ一つの参拝を大切にすることが重要です。
神社で願い事をするときのNG例についてまとめ
神社で願い事をするときのNG例とマナーについて解説してきました。他人の不幸を願うこと、自分勝手な欲望だけの願い、命令口調での願い、漠然とした願い、複数の願いを欲張ることなどは避けましょう。また、願い事は人に話さず、自分と神様だけの秘密にしておくのが良いとされています。
正しいお参りの作法を守り、自己紹介と感謝の気持ちを伝え、具体的で前向きな言葉で一つの願いを伝えること。そして、自分も努力する姿勢を示すことが、神様に届く願い事のポイントです。神社ごとのご利益や参拝方法にも配慮しながら、誠実な気持ちでお参りしましょう。
願いが叶ったら、必ずお礼参りをすることも忘れずに。神様への感謝の気持ちを持ち続けることで、これからもあなたを見守ってくれるはずです。心を込めた参拝で、あなたの願いが叶いますように。
